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ハナダイギンポ

Taxonomic Blog 007

英名:Midas blenny
学名:Ecsenius madas
和名:ハナダイギンポ 

体長:100mm
生息水深:-2mから-30m
生息域:紅海からライン/マルケサス諸島南部・フィリピン南部からニューカレドニア・パラオ・グアム
撮影地:ブルーコーナー水深16m
Auther:hashizo


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ハナダイギンポです。当地パラオでは、水深-20m程度の潮通しのよいドロップオフでみることができますが、個体数はあまり多くはないようです。愛嬌のある顔が人気で目の周りに入る2本のブルーのラインがともて美しい種です。

撮影は、105mmマクロレンズを使っています。危険を察知するやひゅっと巣穴に隠れますが、巣穴から外の様子を伺っている姿は比較的容易に撮影できます。もし遊泳している姿を撮影しようとするならばなかなか難しい撮影になります。ドロップオフのとくに潮通しのよい部分を好み、流れてくる動物プランクトンを捕食しているため、ものすごい速さでちょこちょこと動き回ります。フォーカスノブが壊れそうなほどぐりぐりと回し続けフォーカスを追い続けます。

個体の眼球にフォーカスが来ていること、背びれ、腹びれ、尾びれ、胸びれ,臀びれが完全に広がっていること、背骨が特徴的な形になった瞬間を常にイメージしながらシャッターを切り続けます。ストロボのバッテリー、カメラ本体のバッテリー、タンクの残圧、減圧不要限界のいずれかのリミットを迎えるまでシャッターを激しく切り続けます。共生ハゼの撮影が「静的」であるならば、こちらは、「動的」な撮影でしょうか。

なんといっても本種を語るうえで、特筆するべきは、その擬態についてではないでしょうか。名前の由来はハナダイの仲間を真似ているからと思われますが、キンギョハナダイ、バートレットフェアリーバスレット、アカネハナゴイの群れの中に1個体だけ混ざって泳いでいることがあります。この写真の個体は、ブルーコーナーのカシワハナダイの群れの中に混ざって泳いでいました。

mimic・・・擬態するという意味ですが、大まかには、隠蔽(いんぺい)擬態と攻撃擬態に分けられ、隠蔽擬態とは、その名の通り捕食者(プレデター)から身を隠すために周囲の環境に似るというケース。また攻撃擬態とは、捕食者が獲物に近づくために無害な生物に似るというケース。さて本種はなぜハナダイの仲間に擬態しているのでしょうか。

本種は自分では群れを形成することはないのですが、自分が採用したカラーに最も近いハナダイのグループに混泳しているようです。動物プランクトンを食べていることから攻撃擬態ではないと考えらますし、ロウニンアジやカスミアジなど彼らにとっての捕食者から孤立して見えてしまわないように大きな群れの中に混ざるのでしょうか。

ブルーコーナーに行かれた際には、カレントフックをかける際に、手元をみてください。ドロップオフぎわに、カシワハナダイの群れと本種が見られると思います。

はしぞう
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by taxonomicblog | 2006-07-17 16:09

メアジ

Taxonomic Blog 006

英名:Bigeye scad
学名:Selar crumenophthalmus
和名:メアジ


体長:300mm
生息水深:170m以浅
生息域:日本列島・ハワイ諸島・ニューカレドニア・ラパ・ミクロネシア全域
撮影地:ウーロンチャネル水深15m
Auther:hashizo

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さて、メアジです。パラオで見られる代表的なアジ科生物でメアジ属の一種です。本種は「ウーロンチャネル」で観察する事ができます。1999年~2004年までは、ドロップオフの近辺でみられたのですが、ここ数年は、チャネルの奥の砂地に見られるようになりました。

日中は、水深15mあたりの砂地に巨大な群れを形成しグレイリーフシャーク・ホシカイワリ(アジ科)・ヤイトハタが、捕食すべく群れの周りを取り巻くのですが、本種はそれを嫌ってあちらこちらへ「どどどーっ」っと高速移動を繰り返します。
本種は小型のエビなど動物プランクトン(Zoo Plankton)などを捕食しています。 Robert F Mayers著 「Micronesian Reef Fish」によるとマリアナ諸島では、「8月から11月にかけて巨大な群れを形成する。」との記述がありますが、当地パラオでも、やはり秋頃には、群れが最大になるようです。

Predator・・・「プレデター」というとあのシュワルツェネガー主演の奇怪な宇宙人の映画を思いつく人も多いと思いますが、これは「捕食者」という意味。対義語は被食者と言います。喰う者と喰われる者。本種にとってのプレデターは、サメの仲間や大型のアジなどとなります。


「ロトカ・ヴォルテラの式」という捕食-被食関係の数学モデルがあり微分方程式で表すことができます。

dN2/dt=r1・N1-P・N1・N2
dN2/dt=a・P・N1・N2-d2・N2

r1=個体の成長率
p =捕食率
N1=被食者の個体数
N2=捕食者の個体数
dN2=捕食者の固有死亡率



喰う者と喰われる者の関係を繋げると一方向に並ぶ連鎖がみられ、これを「食物連鎖」と呼びますが、実際には、それぞれの種が多くの種を捕食するため互いに交錯した網目となり、これを「食物網」と呼びます。ほんのわずかな例外の除き、全ての動物は他の動物を食することで命を繋いでいます。そして、その捕食者も何者かの被食者であり、その捕食者もまた被食者となり無限の連鎖が続きます。

華々しく取り上げられることの多いギンガメアジと比べ、ダイビング雑誌などにも、取り上げられることのない種ですが、なかなか通好みのアジです。
秋にパラオへ来られた際には、是非リクエストしてください。


はしぞう
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by taxonomicblog | 2006-07-17 15:09