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ハナダイギンポ

Taxonomic Blog 007

英名:Midas blenny
学名:Ecsenius madas
和名:ハナダイギンポ 

体長:100mm
生息水深:-2mから-30m
生息域:紅海からライン/マルケサス諸島南部・フィリピン南部からニューカレドニア・パラオ・グアム
撮影地:ブルーコーナー水深16m
Auther:hashizo


ハナダイギンポ_b0062119_166366.jpg


ハナダイギンポです。当地パラオでは、水深-20m程度の潮通しのよいドロップオフでみることができますが、個体数はあまり多くはないようです。愛嬌のある顔が人気で目の周りに入る2本のブルーのラインがともて美しい種です。

撮影は、105mmマクロレンズを使っています。危険を察知するやひゅっと巣穴に隠れますが、巣穴から外の様子を伺っている姿は比較的容易に撮影できます。もし遊泳している姿を撮影しようとするならばなかなか難しい撮影になります。ドロップオフのとくに潮通しのよい部分を好み、流れてくる動物プランクトンを捕食しているため、ものすごい速さでちょこちょこと動き回ります。フォーカスノブが壊れそうなほどぐりぐりと回し続けフォーカスを追い続けます。

個体の眼球にフォーカスが来ていること、背びれ、腹びれ、尾びれ、胸びれ,臀びれが完全に広がっていること、背骨が特徴的な形になった瞬間を常にイメージしながらシャッターを切り続けます。ストロボのバッテリー、カメラ本体のバッテリー、タンクの残圧、減圧不要限界のいずれかのリミットを迎えるまでシャッターを激しく切り続けます。共生ハゼの撮影が「静的」であるならば、こちらは、「動的」な撮影でしょうか。

なんといっても本種を語るうえで、特筆するべきは、その擬態についてではないでしょうか。名前の由来はハナダイの仲間を真似ているからと思われますが、キンギョハナダイ、バートレットフェアリーバスレット、アカネハナゴイの群れの中に1個体だけ混ざって泳いでいることがあります。この写真の個体は、ブルーコーナーのカシワハナダイの群れの中に混ざって泳いでいました。

mimic・・・擬態するという意味ですが、大まかには、隠蔽(いんぺい)擬態と攻撃擬態に分けられ、隠蔽擬態とは、その名の通り捕食者(プレデター)から身を隠すために周囲の環境に似るというケース。また攻撃擬態とは、捕食者が獲物に近づくために無害な生物に似るというケース。さて本種はなぜハナダイの仲間に擬態しているのでしょうか。

本種は自分では群れを形成することはないのですが、自分が採用したカラーに最も近いハナダイのグループに混泳しているようです。動物プランクトンを食べていることから攻撃擬態ではないと考えらますし、ロウニンアジやカスミアジなど彼らにとっての捕食者から孤立して見えてしまわないように大きな群れの中に混ざるのでしょうか。

ブルーコーナーに行かれた際には、カレントフックをかける際に、手元をみてください。ドロップオフぎわに、カシワハナダイの群れと本種が見られると思います。

はしぞう
by taxonomicblog | 2006-07-17 16:09